多少でもフィリピンに関わった事のある人であれば「アスワン」をご存知だろう。
それだけ、このアスワンはフィリピン人に有名だ。
日本でいう妖怪の一つで、背中に翼が付いており、上半身だけで飛び回るという。
ただ日本と違うのは、現代社会において、例えばろくろ首が実在すると思っている人は皆無であろう。
しかし、フィリピンではこのアスワンは実在していると思われている。。
フィリピンでは怪奇ものやヒーローもののテレビで悪役としてよく登場するが、なかなかグロい。
普段は通常の人(女性)として生活しているが、夜になり、獲物を狙う時になると、翼が生えて、上半身だけ飛び上がる。
下半身はその場に置き去りになるのだが、上半身と下半身が分離するので、腹がぶち切れ、内臓が露わになり、腸がどさどさと落ちたりする。
なかなか子供にとってはエグい描写だと思う。
このアスワン、おそらくフィリピン人の8割くらいが実在を信じているのでは無いか。
残念ながら、うちの嫁も、同居している嫁母も信じている。。
母も祖母も信じているのであれば、当然9歳の娘も信じている。。
ただ信じているだけで、実害がなければいいのだが、そうもいかない。
このアスワンは「夜な夜な現れて、妊婦や赤子を好んで食べる」とされている。
うちには6ヶ月の赤子がいる。
夜は窓を開けて寝ることができない。
アスワンが狙ってくるからだ。。
なので窓を閉め切り、一晩中エアコンを効かせて高い電気代を支払っている。
12月のフィリピンの夜はそんなに暑く無いので、窓を開ければ扇風機だけで十分なのだが、アスワンの恐怖がそうさせてくれない。。
これには、このアスワン発祥の地が現在住んでいるパナイ島だという事もあるのかもしれない。
現在、パナイ島のロハス市に住んでいるが、「アスワンを見た」という手の話しには事欠かない。
昨晩も近所の娘が夜道で「アスワンを見た」と親に訴えた。
娘は「見たことを絶対に誰にも言いませんから、見逃してください」と懇願して事なきを得たとのこと。。
しかし、帰宅してすぐに親に言って、その親が近所に話しを撒き散らした。
存在を信じている割には、親は「秘密にして子供を守ろう」という思いには至らないようで「うちの子がアスワンを見た〜!」と得意げに触れ回る。
それを聞いたうちの嫁母がこれはやばいと嫁に報告し、「今日は家族全員同じ部屋で寝る」という事になった。
窓際にはアスワンが嫌いとされるニンニクがしっかりと準備された。。
架空の妖怪のために、一家でしっかりと対策が必要なフィリピン。
こんな事もイベントの一つと思い、楽しめなければフィリピンでは暮らせない。